Ⅳ 棚卸資産の評価方法
(貸借対照表原則、五A)
商品、製品、半製品、原材料、仕掛品等のたな卸資産については、原則として購入代価又は製造原価に引き取り費用等の付随費用を加算し、これに個別法、先入れ先出し法後入れ先出し法、平均原価法の方法を適用して算定した取得原価をもって貸借対照表価額とする(後略)
棚卸資産については、原則として購入代価又は製造原価に引き取り費用等の付随費用を加算して取得原価とし、次の評価方法の中から選択した方法を適用して売上原価等の払い出し原価と期末棚卸資産の価額を算定するものとする。
(1)個別法
取得原価の異なる棚卸資産を区別して記録し、その個々の実際原価によって期末棚卸資産の価額を算定する方法
(2)先入れ先出し法
最も古く取得されたものから順次払い出しが行われ、期末棚卸資産は最も新しく取得されたものからなるとみなして期末棚卸資産の価額を算定する方法
(3)平均原価法
取得した棚卸資産の平均原価を算出し、この平均原価によって期末棚卸資産の価額を算定する方法
なお、平均原価は、総平均法又は移動平均法によって算出する。
(4)売価還元法
値入率等の類似性に基づく棚卸資産のグループごとの期末の売価合計額に、、原価率を乗じて求めた金額を期末棚卸資産の価額とする方法
売価還元法は、取扱品種の極めて多い小売業等の業種における棚卸資産の評価に適用される。
■個別法の定義を述べる
個別法とは、取得原価の異なる棚卸資産を区別して記録し、その個々の実際原価によって期末棚卸資産の価額を算定する方法である。
■個別法の特徴を述べる
金額計算が棚卸資産の実際の流れに完全に一致し、棚卸資産の実際の流れを忠実に表現できる。また、個々の取引での収益と費用の対応関係を直接的に確認することができるため、個別損益の把握が可能となる。
しかし、規格品を大量に保有している場合に適用することは、実務上煩雑であり、払い出し品を恣意的に選択する機会を企業に与えているため、利益操作に利用されるおそれがある。
■先入先出法
先入先出法とは、最も古く取得されたものから順次払出しが行われ、期末棚卸資産は最も新しく取得されたものからなるとみなして期末棚卸資産の価額を算定する方法である。
■先入先出法の特徴
①棚卸資産の実際の流れの表現の面から
一般的に、計算上の仮定が棚卸資産の実際の流れに一致し、棚卸資産の実際の流れを比較的忠実に表現しているといえる。
棚卸資産の貸借対照表価額が最近の時価の水準に近い価額となる。
③期間損益への影響の面から
先に取得された古い価格によって払い出し原価が計算され、販売時の価格水準を反映した売り上げ収益と対応されるので、収益と費用を同一の価格水準で対応することができず、棚卸資産の価格水準の変動時には、棚卸資産の価格水準の変動時には、棚卸資産の保有損益が期間損益に含まれてしまう。