第6章 資産総論1
Ⅰ 資産の分類(流動資産と固定資産等)
貨幣性資産と費用性資産の定義と評価について
貨幣性資産とは、将来貨幣として回収され収入に結びつく支出・未収入項目、収益・未収入項目であり、原則として回収可能価額に基づいて評価される。
費用性資産とは、将来費用となる支出・未費用項目であり、原則として取得原価に基づいて評価される。
Ⅱ 資産の評価(取得原価主義)
取得原価主義
(貸借対照表原則、五)
貸借対照表に記載する資産の価額は、原則として、当該資産の取得原価を基礎として計上しなければならない。
資産の取得原価は、資産の種類に応じた費用配分の原則によって、各事業年度に配分しなければならない。有形固定資産は、当該資産の耐用期間にわたり、定額法、定率法等の一定の減価償却の方法によって、その取得原価を各事業年度に配分し、無形固定資産は、当該資産の有効期間にわたり、一定の減価償却の方法によって、その取得原価を各事業年度に配分しなければならない。
取得原価主義(原価基準)の意味について
取得原価主義とは、資産取得の際に支払われた現金もしくは現金同等物の金額に基づき資産を評価する考え方である。
費用配分の原則の定義について
費用配分の原則とは、取得原価を当期の費用額である費消原価と当期末の資産額である未費消原価とに期間配分する考え方である。
費用配分の原則の役割について
費用配分の原則は、陶器の費用額を測定し、貸借対照表に資産として繰り越される金額を決定する役割を有する。
取得原価主義の論拠を(1)損益計算の面及び(2)客観性の面から述べる。
(1)損益計算の面から
資産を取得原価(投下額)で評価すれば、収益に対応づけられる費用が投下額に基づいて測定される。この結果、利益が、投下された貨幣資本を維持したうえでの回収余剰、すなわち分配可能利益としてあらわれるため、取得原価主義が採用される。
また、資産を取得原価で評価すれば、評価益(未実現利益)の計上を許さないという点で、実現主義による収益の認識と結びつくのである。
(2)客観性の面から
取得原価主義は、企業と外部との間に成立した実際の取引価額を測定基礎とすることで価額や期間損益計算の客観性も確保される。
取得原価主義の欠点を(1)貸借対照表価額の面及び(2)損益計算の面から述べる。
(1)貸借対照表価額の面から
取得原価主義は、資産が過去に購入した時からの価格変動を反映しない金額で貸借対照表に繰り越され続けるため、価格水準の変動時には、その貸借対照表価額が最近の時価の水準と乖離してしまう可能性がある。
(2)損益計算の面から
取得原価主義は、過去の取得原価に基づいて計算される費用が、売却時の時価を反映して計上される収益と対応されるため、収益と費用を同一の価格水準で対応づけることができず、価格水準の変動時には、保有損益が期間損益に含まれてしまう。