Ⅱ 繰延資産の会計処理
1 将来の期間に影響する特定の費用に該当する各項目の会計処理について簡潔に述べなさい。
将来の期間に影響する特定の費用に該当する各項目については、原則として、支出時に費用として処理するが、例外として、繰延資産に計上することができる。
2株式交付費を資本から直接控除せず、費用として処理(繰延資産に計上し償却する処理を含む。)する理由を3点述べなさい。
①株式交付費は株主との資本取引に伴って発生するものであるが、その対価は株主に支払われるものではないためである。
②株式交付費は社債発行費と同様、資金調達を行うために要する支出額であり、財務費用としての性格が強いと考えられるためである。
③資金調達の方法は会社の意思決定によるものであり、その結果として発生する費用もこれに依存することになる。したがって、資金調達に要する費用を会社の業績に反映させることが投資家に有用な情報を提供することになると考えられるためである。
3新株の発行に係る費用と自己株式の処分に係る費用を合わせて株式交付費とする理由を述べなさい。
会社法においては、新株の発行と自己株式の処分の募集手続は募集株式の発行等として同一の手続によることとされ、また、新株の発行に係る費用と自己株式の処分に係る費用はいずれも財務活動に要する費用としての性格は同じであることから、両者を整合的に取り扱うことが適当と考えられるためである。
4支出の効果が期待されなくなった繰延資産の会計処理について簡潔に述べなさい。
支出の効果が期待されなくなった繰延資産は、その未償却残高を一時に償却しなければならない。